片頭痛

片頭痛

 頭痛の代表選手ともいうべき「片頭痛」についてどのような症状なのか、どのように治療するのかをお話します。

片頭痛」は慢性頭痛のうち「緊張型頭痛」についで患者数が多いとされています。原因は完全には解明されていません。はじめは「血管説」その後1980年ごろからは「神経説」その少し後から「三叉神経血管説」が唱えられるようになってきました。
これらを詳しくお話するとそれこそアタマが痛くなってきますので割愛します。

 ではどのような頭痛を「片頭痛」と呼ぶのでしょうか。「頭痛のはなし」で書いたように国際頭痛学会による分類と診断基準というものがあります。この診断基準は正確ではありますが、一般の方には少々わかりにくいところがあります。そこで診察室で実際に問診するときの要領で話を進めて行きます。

片頭痛」の症状

 1.痛みは拍動性
自分の脈拍とシンクロした「ドクッドクッ」「ズキッ
ズキッ」とする痛み。ピークを過ぎると持続性の痛み
に変わります。
 2.痛みはたいてい片側性
ただし反対側がまったくの無痛というわけではありま
せん。逆に両側に同じ強さの痛みがあることはまれで
す。
 3.発作性の頭痛である
つまり毎日痛むのではなく、頭痛のある日とない日が
はっきり違うということです。
 4.前ぶれがある
典型的な例では頭痛が起こる前に目の前がチカチカす
るなどの視覚異常があります(前兆)
その他の例でも頚や肩のはり、生あくび、頭痛の予知
感などがあります(予兆)
 5.発作中は音や光がイヤ
頭痛発作の最中に大きな音や強い光、首をふることな
どで痛みが強くなります。またたとえ強くならなくて
もそれらの刺激は避けたいと思います。
 6.遺伝傾向が強い
片頭痛患者の母の50%、父の20%が同様に片頭痛
あるといわれています。ただし遺伝様式は確定してお
らず、いわゆる遺伝病ではありません。
 7.若年発症
20才代で痛みが強くなり本格化してくるが、最初の
頭痛は10才代ということが多いようです。
60才以上になると頭痛の程度、頻度ともに減少して
きます。また妊娠中も症状が大幅に軽減します。

 問診をして1から4までが該当すればまず「片頭痛」と診断して良いと思います。そしてそのような患者さんは5.6.7.も該当することが多いようです。

片頭痛」の治療

 片頭痛の治療は大きくわけて抑制治療と予防治療の二つがあります。
 抑制治療というのは頭痛発作が起こったときにどう対処するかということであり、予防治療というのは文字通りいかに頭痛発作を回避していくかということです。
順番に見て行きましょう。
A . 抑制治療
 1.消炎鎮痛薬
発作の軽い方はこれでも対応できることがあります。
よく使われるのはイブプロフェン(商品名ブルフェン)です。小児、妊婦にはアセトアミノフェン(商品名カロナール)が良いでしょう。

 2.エルゴタミン
エルゴタミンの持つ血管収縮作用によって頭痛発作を抑制しようとするものです。現在使えるのはエルゴタミン配合剤(商品名クリアミン)のみです。無水カフェインとアンチピリンを配合しています。
血管を収縮させるので虚血性心疾患や末梢循環障害のある方には禁忌です。

 3.トリプタン製剤
今やトリプタン製剤片頭痛治療の切り札と言えるでしょう。
日本でも2000年より順次発売され、スマトリプタン(商品名イミグラン)ゾルミトリプタン(商品名ゾーミッグ)エレトリプタン(商品名レルパックス)リザトリプタン(商品名マクサルト)が様々な剤型で出そろいました。脳血管の異常拡張や浮腫、神経の炎症や浮腫を抑制することによって片頭痛発作を抑制するクスリです。ただし服薬のタイミングが悪いと効果がないので注意が必要です。主治医や薬剤師の指導をしっかり受けてください。

B . 予防治療
 1.カルシウム拮抗薬
これらのうち片頭痛予防薬として承認されているのは、塩酸ロメリジン(商品名ミグシス)だけです。
一回1乃至2錠を一日二回服用する。

 2.抗てんかん薬
バルプロ酸ナトリウム(商品名デパケン)トピラマート(商品名トピナ)がよく用いられます。

 3.抗うつ薬
アミトリプチリン(商品名トリプタノール)がよく用いられます。

 4.その他
抗アレルギー薬のうちロイコトリエン拮抗薬(商品名オノン、シングレア)や抗ヒスタミン薬の一つ(商品名ペリアクチン)にも予防効果があるといわれています。

 ただし「予防治療」の有効率はどれも50%以下であることや、予防薬自体の持つ副作用などを考えると、月に1乃至2回程度の発作なら起こってから「抑制治療」で対処する方が良いともいえます。

 現在、片頭痛治療の中心はトリプタン製剤による「抑制治療」です。ただ片頭痛の患者さんは非発作時にも頭重感や肩こりを有する方が多く、また平時の血管収縮傾向こそ発作の準備状態だといえるのです。

 ですからペインクリニックでは薬物治療以外に「星状神経節ブロック」や頚肩部の「トリガーポイント注射」「後頭神経ブロック」などを行っています。

 片頭痛はスパンの長い疾患です。しかし原因の解明は着々と進み、新しい治療薬も次々と開発されつつあります。今でもうまくコントロールすれば日常生活への悪影響は相当減らすことができます。

 「発作が起こると同時に一錠クスリをのめば、そのまま仕事を続けられる」ようになる日はそんなに先ではないでしょう。