群発頭痛
慢性頭痛の中ではもっとも頻度の少ない頭痛「群発(ぐんぱつ)頭痛」についてお話しします。
群発頭痛の症状
一年に一度、約一ヶ月間にわたり一日一回一時間程度の
激しい頭痛にみまわれる病気です。何から何まで「一」がからんでいますが、もちろん多少のズレはあります。
男性に多く片側性で頭痛発作中は流涙、鼻水、鼻詰り、結膜充血が起こります。じっとしていられない程の痛みで、ついからだに力が入ってしまいます。
期間中はアルコール摂取によって頭痛が誘発されますがそれ以外の時期は平気で飲酒できます。
このように発作の起こり方がたいへん個性的ですので診断はすぐにつきます。
群発頭痛の治療
片頭痛の治療同様、群発頭痛の治療も大きくわけて抑制治療と予防治療の二つがあります。
抑制治療というのは頭痛発作が起こったときにどう対処するかということであり、予防治療というのは文字通りいかに頭痛発作を回避していくかということです。
A 抑制治療
1.トリプタン製剤
片頭痛とおなじで今ではこれが第一選択薬です。
ただ片頭痛より展開が素早いので、内服では間に合いません。スマトリプタン(商品名イミグラン)の注射薬が理想なのですが、注射という点がネックになっています。
あるいはスマトリプタン(商品名イミグラン)点鼻薬も有効です。
問題は「連日一ヶ月も続く」発作ですので、クスリの摂取量も大量になってきます。すると後述するように「薬物乱用頭痛」に結びつくおそれがでてきます。
2.酸素
純酸素を毎分10リットル、10乃至15分吸入することが有効な場合があります。
B. 予防治療
1.ベラパミル(商品名ワソラン)
虚血性心疾患や頻脈のクスリ。片頭痛の予防薬として使われています。群発頭痛にも有効です。
2.炭酸リチウム(商品名リーマス)
躁病、躁うつ病の躁状態のクスリ。欧米では第一選択薬だが使いにくい印象があります。
3.バルプロ酸(商品名デパケン)
抗てんかん薬。予防効果はあるのですが、けん怠感と眠気がネックです。
最初の発作にはどの患者さんもたいへん驚かれます。それだけ重病感のあるはげしい症状だからです。
しかし診断がつきその方にあった適切な治療手段が確立されれば比較的コントロールしやすいものです。
「薬物乱用頭痛」
もともと「片頭痛」や「緊張型頭痛」であった方が、クスリの使用法に問題があったために「薬物乱用頭痛」におちいることがあります。
正確な診断がないまま、市販の頭痛薬を大量にのみ続けたり、診断に基づいて正しく処方されたクスリでも頻回に摂りすぎたりしたために起こります。
元の「頭痛」が修飾されて複雑な、そしてしつこく持続する頭通に悩まされるようになるのです。
治療の大原則は問題のクスリを完全に休止することしかありません。同時にその間の頭痛にも対処していかねばならず、なかなか大変な状態といえるでしょう。
一例一例事情が異なりますので、定形的な治療法というものはありません。